民泊新法と旅館業法の違いは?徹底解説!

民泊

「民泊業」と「旅館業」の違いについて、またそれらを取り巻く法律に関して、理解をせずに民泊を起ち上げるのは非常に困難です。

また、理解をすることで得られる恩恵も大きくあります。

なんとなく違いは分かるけど、その違いをどのように活かせばいいいかわからない。。そんな方には必見の記事になります。

 

まだ読まれていない方は、ぜひ以下の記事もご覧ください

・民泊の基本知識を振り返る

民泊の始め方!自宅や賃貸で始める手続きを初心者向け解説 | コンシェルデスクブログ (concierdesk.com)

・各業法に則って開業する場合のプロセスを丁寧に解説

民泊許可申請方法まとめ!費用や必要書類などをわかりやすく解説 | コンシェルデスクブログ (concierdesk.com)

・それぞれの法律で運営できる物件も異なる!?

民泊可能物件の探し方と購入方法について詳しく解説! | コンシェルデスクブログ (concierdesk.com)

 

目次

旅館業と民宿業の違い

法律の違い

同じ宿泊業ではあるものの、この違いを理解することはとても重要です!

結論から言うと、この二つの事業形態の違いは適用される法律が異なる!ということです。

この後、それぞれの法律についてお詳しくお話をしていきたいと思います。

民宿業:民泊新法(住宅宿泊事業法)

旅館業:旅館業法(今回は、簡易宿泊営業を想定します)

民泊新法(住宅宿泊事業法)とは

民泊の法律

まずはじめに、民泊新法についてお話をしていきます

 

急速に増加する民泊について、安全面・衛生面の確保がなされていないこと、騒音やゴミ出しなどによる近隣トラブルが社会問題となっていること、

観光旅客の宿泊ニーズが多様化していることなどに対応するため、一定のルールを定め、健全な民泊サービスの普及を図るものとして、新たに制定された法律で、平成29年6月に成立しました。

この法律は、「住宅宿泊事業者」「住宅宿泊管理業者」「住宅宿泊仲介業者」が対象となっており、それぞれに役割や義務などが決められています。

今回は、「住宅宿泊事業者」つまり、住宅宿泊事業を営む者を対象にした義務や役割等の詳細をお話ししていきます!

 

[1] 住宅宿泊事業を行おうとする者は、都道府県知事等(※1)への届出が必要

年間提供日数の上限は180日(泊)とし、地域の実情を反映する仕組み(※2)の創設

(※1)都道府県知事に代わり、保健所設置市の長(政令市、中核市等)、特別区の長(東京23区)が届出の受理・監督・条例制定事務を処理できることとする

(※2)条例による住宅宿泊事業の実施の制限

[2] 家主居住型の場合は、住宅宿泊事業者に対し、住宅宿泊事業の適正な遂行のための措置(※3)を義務付け

(※3)衛生確保措置、宿泊者に対する騒音防止のための説明、近隣からの苦情への対応、宿泊者名簿の作成・備付け、標識の掲示等

[3] 家主不在型の場合は、住宅宿泊事業者に対し、上記措置(標識の掲示は除く)を住宅宿泊管理業者に委託することを義務付け

[4] 都道府県知事等は、住宅宿泊事業者に係る監督を実施

このほかにも、いくつかの義務や役割などがあるので、必ず確認するようにしましょう。

引用:住宅宿泊事業法(民泊新法)とは? | 民泊制度ポータルサイト「minpaku」 (mlit.go.jp)

旅館業法とは

旅館の法律

次に、旅館業法ついてお話をしていきます

旅館業の業務の適正な運営を確保すること等により、旅館業の健全な発達を図るとともに、旅館業の分野における利用者の需要の高度化及び多様化に対応したサービスの提供を促進し、

もつて公衆衛生及び国民生活の向上に寄与することを目的として制定されました。

はじめに、旅館業とは「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義されており、「宿泊」とは「寝具を使用して施設を利用すること」とされています。旅館業は「人を宿泊させる」ことであり、

生活の本拠を置くような場合、例えばアパートや間借り部屋などは貸室業・貸家業であって旅館業には含まれないとされています。

また、旅館業には、「旅館・ホテル営業」「簡易宿泊所営業」、「下宿営業」をさします。

それぞれ

「旅館・ホテル営業」:施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、簡易宿所営業及び下宿営業以外のものをいう。

「簡易宿泊所営業」:宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、下宿営業以外のものをいう。

「下宿営業」:施設を設け、一月以上の期間を単位とする宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業

とされています。

今回は、旅館業法の中でも、「簡易宿泊営業所」を想定して、お話ししていきます。

民泊新法(住宅宿泊事業法)と旅館業法の違い一覧

法律の違い

それでは、各項目で各業法の違いを比較をしていきたいと思います。

 

旅館業法(簡易宿泊所) 民泊新法
営業日数の違い 営業日数制限なし 年間180日以内
フロントの設置義務 原則なし なし
用途地域制限 第一種・第二種住居地域/準住居地域/近隣商業地域/商業地域/準工業地域 工業専用地域以外

(自治体によって制限あり)

消防機器の制限 あり あり
申請の違い 都道府県への許可申請

11種類以上の申請書類

都道府県への届け出申請

13種類以上の申請書類

 

[営業日数の違い]

旅行業許可を取得して営業をする場合、一年中稼働させることが可能です。

一方、「民泊」として営業をする場合、営業可能日数が年間180日以内に制限されています。

 

[フロントの設置義務]

旅行業法が適用される場合のみ、フロントの設置義務があると記載しましたが、以下の要件を満たしている場合は代替措置として認められることになっています。

 

1.事故が発生したときその他の緊急時における迅速な対応を可能とする設備を備えていること。

かつ

2.宿泊者名簿の正確な記載、宿泊者との客室の鍵の適切な受渡し及び宿泊者以外の者の出入りの状況の確認を可能とする設備であること。

 

具体的なケースをあげると、以下のようになります。

 

1.事故が発生したときその他の緊急時における迅速な対応のための体制が整備されていること。

緊急時に対応できる体制については、宿泊者の緊急を要する状況に対し、その求めに応じて、通常おおむね10分程度で職員等が駆けつけることができる体制を想定しているものであること。

2.営業者自らが設置したビデオカメラ等により、宿泊者の本人確認や出入りの状況の確認を常時鮮明な画像により実施すること。

3.鍵の受渡しを適切に行うこと。

 

しかし、旅行業法及び、民泊新法いずれにおいても、各自治体の条例によって制限されるケースも少なくないので、必ず確認をすることを推奨します。

 

[用途地域制限]

旅館業許可を取得する際には、ホテルや旅館を立てられるエリアと同じ用途地域にしか建てることができません。一方で、民泊は既存の住宅を貸し出すものであるため、住居専用地域でも営業することができます。

しかし、こちらにおいても各自治体によって制限されるケースがあるので、必ず確認をしてください。

 

[消防機器の制限]

「民泊」を行う場合、以下の設備が必要になります。

自動火災報知設備・誘導灯・スプリンクラー設備・消火器

しかし、以下の場合に限り、一般住居に求められる住宅用火災警報器のみの設置になります。

(自分の住居の一部を民泊として貸し出しており、民泊として使用する部分が建物全体の半分以下であるかつ、50㎡以下の場合)

一方で、旅館業の許可を得る場合については、民泊新法が適用される場合よりも多くの設備が必要になります。

 

[申請の違い]

宿泊事業を行うには、旅館業法の場合は許可申請、民泊新法の場合は届出申請が必要となっています。許可申請の場合には、許可取得の難易度が高くなっています。

しかし、届出の場合には、「なにか事件が起こった際に行政側が把握できるように届出が必要」ということなので、基本的には申請が却下されることはありません。

また、その申請書類も各業法によって異なりますので、詳しくは以下を参照してみてください。

民宿としての許可されるポイントとは

注意点

いたってシンプルでありますが、要件をしっかりと守ることです。

例えば、必要な消防設備が整っていない。だったり、用途地域外の物件を選択してしまった場合などです。

これらは、どんなに頑張っても許可が下りることはありません。

許可申請については、行政の管理下になります。

そのため、覆りようのないような要件を満たしていないなどのミスなどは許可のおりようがありません。

逆を言えば、しっかりと要件さえ満たせば、どんなコンセプトであろうと、場所だろうと許可はおります。

民泊の規制緩和とは

法律規制緩和

民泊ビジネスに注目が集まる近年ですが、その追い風となっているのが、民泊を取り巻く法律の規制緩和といっても過言ではありません。

では、具体的にどのような部分が規制緩和されたのかお話ししたいと思います。

平成28年4月の規制緩和はおこなわれ、簡易宿所営業の許可要件である客室延床面積(33㎡以上)の基準を改正し、一度に宿泊させる宿泊者数が10 人未満の施設の場合には、

宿泊者1人当たり面積3.3 ㎡に宿泊者数を乗じた面積以上で許可を受けられることとしました。

つまり、規制前よりも小さな間取りの物件でも旅館業を取得した民泊を行うことができるようになったことになります。

分譲マンションで民泊をおこなうときの注意点

分譲マンションで民泊

注意点は二つあります!

1.転貸可能物件であるか否か

転貸とは貸主と借主の間で同意・承諾を得た上で貸主が第三者に対して物件を賃貸利用させる事をさし。いわゆるサブリース(又貸し)物件がこれにあてはまります。

一般的には法人である不動産会社が貸主と賃貸契約を結び、一定割合の家賃を保証を条件に一括借り上げ。全額保証では無いものの、一定額の家賃保証と同じ意味になるので、

空室による家賃ゼロリスクを負わずに安定的な収入を得られることから、貸主にとってはメリットのある形態とされています。

最近はサブリースの不動産会社もシェアハウスにしたり物件に付加価値を付ける工夫をしている会社も増えてきているようです。

2.民泊運営が可能か否か

転貸可能物件であっても、民泊として賃貸することを許可していないケースも多く見受けられます。

募集要件に転貸可能と記載があっても、必ず管理会社に民泊運営を行ってもよいか、確認するようにしましょう。

まとめ

民泊新法・旅館業法についてお話をしてきました。

同じ宿泊業ではありますが、その規則内容などは異なる部分が多くあります。

自身が思い描く民泊に合わせて、適切な業態を選べるように、それぞれの違いをしっかりと理解することができたら幸いです。

疑問点やご質問、各相談なんでもお受けた致します!詳しくは弊社提供サービスのサイトをご覧ください!

Concier Desk(コンシェルジュデスク) | 東京・岡山の宿泊施設運営代行サービス

 

記事をシェアする
目次